平成19年12月

■平成18年度決算認定について反対討論
 ・財政危機を加速させる
 ・むだな公共事業と、談合が疑われる95%の落札率
 ・県民の県政への要望が後回し

 市民ネットワークの川本幸立です。


 平成18年度決算認定について、議会が財政危機打開のための改革の主役であるという議会の本来の使命に照らして、そして地方自治法第1条、同じく第2条に照らして、反対の討論を行います。
 18年度決算では、県債残高、いわゆる借金が1年間で約460億円ふえました。堂本知事が就任する前の2000年度末の県債残高が1兆8,700億円、就任した2001年度以降では毎年借金はふえ続け、6年間で約5,400億円増加し、平成18年度末の県債残高は約2兆4,000億円に達しました。
 こうした巨額の借金を抱え、財政運営の危機に直面しているのは全国の自治体に共通することです。なぜこうなったのか。バブル崩壊後の90年代、政府が音頭をとった景気対策にのって全国の自治体は多額の地方債を競い合うように発行して公共事業を拡大させたこと、それに反して地方交付税の額は大幅に削減され、その結果、地方債の元利償還の見通しが立たなくなったからです。
 この教訓から何を学ぶのか。片山前鳥取県知事が指摘するように、まず地方債と連動する地方交付税の先食いというモラルハザードとは縁を切ることです。次に、公共事業を量、質ともに抜本的に見直し、本当に必要な公共事業を精選し、その事業決定過程を透明化すること。3番目に、地方分権の時代、この財政危機打開のための改革の主役として、議会がその責任を果たさねばならないということです。
 しかし、千葉県においてこのモラルハザードは改められることなく継続し、つくばエクスプレス沿線開発、かずさアカデミアパークなどの大規模開発、北千葉道路、圏央道、八ツ場ダム、酒々井インターチェンジ計画などは抜本的に見直されることなく進行しました。
 財政危機から抜け出す改革の主役という議会の使命に照らしたとき、これらの貴重な教訓から学ばず、財政危機を加速させた18年度決算を容認するわけにはいきません。
 次に、地方自治法第2条に規定する「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」、この最小の経費で最大の効果が得られるような税金の使い方がされたのかということです。
 その判断基準の一つが公共事業の適正な入札であり、もう一つがむだな公共事業が行われなかったのかということです。後者については少し先ほど触れました。入札落札率について、ここでは触れます。
 本12月議会でも、昨年度の外郭団体への発注の58%が随意契約であり、再委託時の不透明性などが指摘されました。平成18年度決算の県の建設工事3,765件の単純平均の落札率は95%です。日本弁護士連合会の入札制度改革に関する調査報告書では、落札率は談合しているかどうかを判断するための主な基準になるとされ、全国市民オンブズマン連絡会議では、95%以上を談合の疑いが極めて高い、90%以上を談合の疑いがあるとしています。
 長野県では、平成18年度予定金額982億円に対し、落札金額775億円で、落札率は80.4%でした。余談ですが、長野県は2001年度から2006年度の6年間毎年借金を減らし、6年間では1,300億円減らしています。
 長野県ベースの落札率を実現すれば、少なくとも千葉においては百数十億円節約できたことになります。決算審査特別委員会ではこの高い落札率について合理的な説明はありませんでした。地方自治法第2条の「最小の経費で最大の効果」という規定に高落札率は限りなく反する疑いがあります。
 最後に、地方自治法第1条の「住民の福祉の増進を図ることを基本とする」こと、すなわち地方自治体の使命である住民の安全を確保することに照らしてどうかということです。
 平成18年に実施された第32回県政に関する世論調査の県政への要望によると、1番目は高齢者の福祉を充実する、2番目は医療サービス体制を整備する、3番目は災害から県民を守る、4番目は次世代を担う子供の育成支援を充実するでした。
 医療については再三本会議でも指摘されました。また、耐震改修の進捗状況、県立学校バルコニーからの転落事故に対するハード面での予防策、既存道路の補修、交差点の改修や信号機の設置などの交通安全対策など、人命・災害にかかわる施策が後回しにされたことは看過できるものではありません。
 県管理の約3,400キロメートルの既存道路について、補修要望が106キロメートルであったのに対し、その6割しか補修されませんでした。道路補修費用は平成10年度、11年度の半額以下となっています。県立学校バルコニー転落事故は平成6年から19年で26件発生し、うち3件の死亡事故は平成17年2件、19年に1件です。ハード対策をとらなかった県教委の姿勢が厳しく問われるべきと考えます。
 「あれも、これも」から「あれか、これか」の選択の時代に、大規模公共事業が優先されたことにより、県民が本当に望む医療、福祉災害対策、教育の分野が削られています。
 以上、県議会の使命、地方自治法第1条、第2条に照らして、18年度の決算認定について反対を表明します。
 なお、18年度決算を踏まえ、20年度予算編成について、いわゆるシーリング方式ではなく、一つ一つの事業をきちんと査定することそして県民への説明責任を果たすために、予算編成過程及び査定内容を公開することを強く要望いたします。

 以上で討論を終わります。