平成20年2月

■発議案第13号、新型インフルエンザ対策の強化を求める意見書に対する反対討論
■発議案第21号、道路特定財源の一般財源化を求める意見書に対する賛成討論

 市民ネットワークの川本幸立です。
 発議案第13号、新型インフルエンザ対策の強化を求める意見書に対する反対討論、発議案第21号、道路特定財源の一般財源化を求める意見書に対する賛成討論を行います。


 まず、発議案第13号について、反対討論をいたします。

 本発議案内容は、新型インフルエンザ対策として詳細な行動計画や財政措置を求めるとともに、バイオ戦争と位置付け、自衛隊の協力を強く要望する内容です。新型インフルエンザ対策の強化を求めること、そのことに異議はありません。しかし、問題はその中身です。今までの施策を厳しく検証すること、そして戦争やテロとは異なる非意図的な生物災害、バイオハザード対策については人権の尊重、情報の共有を基本とした施策が求められます。
 平成19年6月議会で新型インフルエンザ対策としてのタミフルの備蓄について、私は、生物災害の様相、タミフルの効果とその副作用、耐性ウイルスの出現などを検討し、慎重に対応すべきであるとする立場から反対しました。
 今日までの施策の問題点として、次の3点を指摘します。
 まず、インフルエンザウイルスは極めて変異しやすいウイルスであることから、効果のあるワクチンをつくることが困難であること。同一のインフルエンザ患者の中でもどんどん変異していくと言われており、ワクチン策一辺倒という施策の問題があります。
 2点目に、タミフルは副作用被害も多く、研究調査では一日早く症状がおさまる程度であるにもかかわらず、世界のタミフル使用量の7割を日本が占めるという異様な事態にあることです。
 3点目に、タミフル耐性ウイルスの存在は2004年ごろから報道されており、その効能も定かでないものを新型インフルエンザ対策として備蓄してきた、そのおろかさであります。
 しかし、発議案では肝心のこうした点について言及されてはいません。
 さらに、これらの施策の背景にあるのが90年前、全世界で2000万人が死亡したと言われるスペイン風邪と同一の次元でとらえる「誇張された脅威」です。情報の流通、衛生環境、食糧事情、科学技術のレベルなど当時と大きく異なります。
 実際、人から人への感染連鎖が確実となるようなパンデミック(世界的な大流行)が深刻に危惧される事態にはなっていません。感染患者の治療に当たる医療従事者への二次感染例も皆無です。年明けにNHKであたかも「パンデミックになるのは必然的で、時間の問題だ」との印象を与えるような番組が放映されましたが、そうした推測を裏付ける客観的な根拠は示されていません。
 インフルエンザウイルスは特別に頑強なウイルスではなく、むしろ日光や殺菌消毒剤によって容易に死滅するウイルスと言われています。今までの施策を冷静に分析すること、水際で被害を最小限に食い止めるために最新の科学技術を駆使し備えること、公衆衛生の正しい情報を周知すること、地域防災計画などで大地震対策と並んで生物災害対策を規定することが、今必要なことだと考えます。
 疫学的に効果があったとする証明のないワクチンや抗ウイルス剤の備蓄のための財源措置は不要であります。「パンデミックの脅威」を背景に、「ウイルスとの戦い」、「バイオ戦争」などと病原体との対決をあおるのはいかがなものでしょうか。

 以上の理由により、発議案第第13号に反対します。


(3月21日県議会 発議案21号)

 発議案21号についての賛成討論を行います。
 千葉県において道路特定財源の堅持を求める柱に「県都1時間構想」に基づく高規格道路網の実現があります。
 この「県都1時間構想」に基づく高規格道路が他の施策よりも優先して建設される明確な根拠があるのかを問いたいと思います。
 17日の常任委員会の質疑でこの県都1時間構想の達成度と今後の見通しについて尋ねました。答弁によると、
? 未達成の割合は県土面積で33%、人口で28%
? 構想完成時期は不明、おそらく県全域で実現することは困難であること。
? 今後必要な建設コストは計画が認可された道路についてはトータル千数百億円であること。
? 地域振興や環境への効果について詳細には検討していないこと
? 最新の交通センサスでの評価はこれからであること
というものでした。
 県都1時間構想、それに基づく高規格道路網の妥当性について、
?将来の建設、維持管理などのコストの見通し
?地域振興を含めた費用便益分析B/C
?環境への影響
の3点について最新の知見をもとに県民の批判に耐えうる評価を行う必要があると考えます。
? まずコストの見通しですが、平成17年度の国土交通白書は、公共事業予算を現在のように国の管理主体分を3%ずつ削減し、地方分を5%ずつ削減すると国交省所管施設で2020年以降、道路を含む既存施設の維持管理・更新費すら賄えなくなるという推計をしています。千葉県も同様ではないでしょうか。増大する既存道路の維持管理費、生活道路の整備、安全対策は手を抜くことができません。維持管理・更新費すら賄えない状態で新たな高規格道路の整備が可能でしょうか。不足分を教育・医療・福祉の予算を削って行うのでしょうか。
? 次に費用便益分析です。最新のセンサスでの評価、走行時間短縮便益の算定手法についてそれらを見直して評価することは当然です。高規格道路の建設は地域振興につながるのではなく、その逆にストロー効果による人口流出で地域の活力を奪い、疲弊させる例は県内でも見受けられます。中心市街地の疲弊はその地域が育んできた文化の衰退でもあります。こうした道路による地域の衰退を予防するためにも、従来の道路そのものを独立して評価する費用便益手法ではなく、土地利用や誘発交通、公共交通機関など考慮した交通の総合的な評価や経済評価が不可欠です。
? さらに環境への影響です。道路やネットワークをつくれば渋滞が解消すると考えるのは実は「非常識」と言えます。国土交通省の国土交通政策研究所の2005年の「経済成長と交通環境負荷に関する研究」によれば、2030年までの首都圏3環状、9放射道路に第二湾岸の整備を前提に評価した結果、1995年と2030年との比較で「誘発交通の発生により自動車交通需要が大幅に増加し、交通ネットワーク全体として総所要時間が上昇する。その結果、17%近くCO2排出量が増加する」としています。
 以上の3点をみても、「地方の活性化のためには高規格道路の建設が不可欠」とは言える実態にはなくまたその評価も行われていないこと、また、財政で高規格道路をつくり続けることは非常に困難であることが予測されます。
 少なくとも、県都1時間構想をタテに福祉や医療、教育よりも優先して高規格道路をつくる根拠を見出すことはできません。県都1時間構想の実現を理由として道路特定財源の堅持を訴えるその明確な根拠はないと言えます。
 なお、最後になりますが、上乗せ分の税率の撤廃により、国立環境研究所は短期では800万トン、長期では2400万トンのCO2排出増となること試算しています。
 また、道路以外のものに使うと、「受益と負担の関係を崩す」という議論もありますが、クルマ利用による大気汚染、健康・生命の安全を脅かすことに対する適切な「社会的費用を負担」しているとはいえない現状にあります。
 暫定税率分廃止に伴い、地球温暖化防止の視点、クルマの社会的費用の適切な負担の視点から、環境政策のための目的税とする議論を国民の世論に負託して進めることが不可欠と考えます。

 以上で発議案21号に対する賛成討論をおわります。

 ご静聴ありがとうございました。