平成20年6月

■「千葉県総合スポーツセンターの管理に関する条例の制定について」反対討論
■千葉県松風園設置条例の一部を改正する条例の制定について、委員長報告に反対する立場で討論
■「館山港みなと整備交付金工事請負契約について」反対討論
■「後期高齢者医療制度を廃止することを求める意見書の提出について」の委員長報告に反対する討論

千葉市緑区選出、「市民ネット・社民・無所属」の川本幸立です。
議案第1号、7号、18号、請願59号について委員長報告に反対の立場から討論を行います。


 最初に、議案第1号「千葉県総合スポーツセンターの管理に関する条例の制定について」反対討論を行います。
 この議案は千葉県総合スポーツセンターの管理を指定管理者に行わせるものです。
7号議案にも共通しますが、指定管理者制度の是非を判断する場合の基準として次の5点が挙げられます。

1番目に、施設の本来の使命をより実現するものとなっているか、
2番目に、公務労働の専門性を踏まえつつ、現状の管理運営を評価して課題を抽出し、それらを解決するものとなっているか
3番目に、直営と指定管理者を比較検討し、優劣の根拠が明確に示されているか、
4番目に、経費節減がサービスの低下、不安定な雇用関係を広げるものとならないか、
5番目に、3〜5年毎の更新で長期的なビジョンに基づいて安定した管理運営ができるか、
というものです。

 しかし、本議案の県総合スポーツセンター、7号議案の松風園についてこの5つの基準に照らした時、満足に検討されることなく指定管理者の提案がされており、これでは賛成することはできません。
本議案の県総合スポーツセンターの場合、老朽化も著しいにもかかわらず、センターの将来計画も策定されてはおらず、指定管理者制度導入の目的が目先の人件費削減に重点に置かれていることが明らかです。
制度の導入にあたり利用者主権、住民自治、公務労働の専門性の観点からの検討が不十分であることから本議案に反対します。

 次に、議案第7号 千葉県松風園設置条例の一部を改正する条例の制定について、委員長報告に反対する立場で討論をします。 この議案は、生活保護法に基づく救護施設「松風園」の管理を指定管理者に行わせるというものです。
 松風園は、身体や精神に障害があり、経済的な問題も含めて独立して日常生活をおくるのが困難な人たちが、健康に安心して生活するための施設です。昭和38年に開設、現在は88人の入所者で、在園期間は平均11年8ヶ月、平均年齢は60歳5ヶ月、最高齢者は83歳で、65歳以上の人が32人おられます。障害をもった経済的困窮者の最後のよりどころであり、最も福祉の理念と精神が必要とされる施設だと言えるでしょう。
 しかし、対人関係に困難を抱えている入所者にとってみれば、指定管理者制度導入により、長年慣れ親しんだ職員の顔ぶれが変わってしまうことで、不安と混乱が生じることが懸念されます。
 そもそも、松風園のような救護施設の理念とは相容れない制度ではないでしょうか。
 先日、私たち会派は松風園を訪れ、つぶさに内部を見せていただきました。施設の老朽化や、バリアフリー化の遅れ、プライバシーが確保されていない点など多くの問題点が確認されましたが、それを補う職員の方々の献身的な取り組みが印象的でした。こうした問題点を改善せずに民間へ丸投げするということは、利益を捻出するために改善は更に先延ばしされるという恐れがあります。今県がやるべきことは、安易な制度導入ではなく、じっくりと腰を据えて松風園の環境を整備し、入所者の処遇を改善することです。
 また、県が職員の方々に指定管理者導入の説明をしたのが6月議会直前の5月20日、あまりにも性急な展開であり、既に方向性が決まったあとの事後承諾の感をまぬがれません。以上、入所者と職員を置き去りにした経費削減優先の議案第7号には強く反対いたします。

 次に議案18号「館山港みなと整備交付金工事請負契約について」反対討論します。
 本議案は、館山港に多目的桟橋を建設するにあたり、設計施工一括で発注する業者を総合評価落札方式で決定し契約するものです。
委員会審議の過程で、本事業が経済効果、費用便益について明確な根拠のない公共事業であることが指摘され、また入札者が防衛施設庁の官製談合事件などで指名停止処分を受けていることから入札資格をめぐって疑問もなげかけられました。そしてそれに加えて、入札にあたり要件が緩和され98社に対象を広げたにもかかわらず、なぜ入札者が1社でかつ落札率が100%なのか、その妥当性について委員会審議の過程でも納得の出来る説明が行われませんでした。
以上、公共事業及び入札の妥当性について説明責任が果たされていないことから、議案18号に反対します。

最後に、請願第59号「後期高齢者医療制度を廃止することを求める意見書の提出について」の委員長報告に反対する討論を行います。
後期高齢者医療制度は、「年齢で命を差別する制度」と厳しく批判されています。政府与党は厳しい批判は国民の理解不足にあるとして、制度の哲学、土台、骨組みはいじらず、一部の化粧直しだけでお茶を濁そうとしています。
政府与党が後期高齢者医療制度導入の根拠としている「高齢化は医療費の膨張を招く」いわゆる「医療費亡国論」と、制度導入の背景、医療費の「財源」検討のあり方についてその問題点を指摘します。

(1) まず、高齢化は医療費の膨張を招くという、いわゆる医療費亡国論についてです。
この医療費亡国論が医療経済学の常識に反することを6月17日の毎日新聞の連載「医療クライシス」でも指摘されています。「高齢化が医療費を増やすという根拠」はどこにもなく、「医療費の額は医療への政策スタンスで決まること」が医療経済学の常識であるということです。
 そういう視点でみれば、日本の医療費予算は国際比較した場合、先進7カ国中対GDP比で最低レベルです。ここに日本の医療の政策スタンスが如実にあらわれています。

(2) 次に制度導入の3つの背景です。
 一つは、94年から始まった米政府から日本政府への「年次改革要望書」です。要望書では米政府は一貫して日本政府に自由診療の拡大と公的医療の抑制を求めています。そして04年の「日米投資イニシアティブ報告書」では外資系保険会社の営利拡大のため混合診療の即時解禁を求めています。
 二つ目は、03年の奥田・前経団連会長による「奥田ビジョン」です。2010年までに医療費を5兆円削減し、企業の社会保障負担を軽減し、その分を消費税で埋め合わせるという構想です。
三つ目は、「高齢者に痛みを感じさせること」「医療費削減まずありき」が後期高齢者医療制度導入の目的であると制度策定にかかわった当時の官僚自身が告白していることです。
制度導入の先に見えるのは国民皆保険制度の崩壊です。

(3) 最後に医療費の財源についてです。
 現在、医療費の財源確保として、後期高齢者医療制度導入をきっかけに消費税大幅アップの合唱が行われています。
 この消費税、もともと「福祉財源」とすることを口実に導入されましたが、89年度から07年度の税収累積188兆円、一方この間の法人三税の減収分は158兆円で結局消費税収の85%が法人3税の減少で消えています。さらに消費税は逆進性故に、所得の少ない若者やお年寄りの生活へのしわよせが大きいものです。先に紹介した奥田ビジョンを冷静に読めば、消費税のアップ分が社会保障の企業負担分の埋め合わせにまわされると考えるべきでしょう。
本来、「財源」を論ずるならば、法人・所得税率や先進7か国中ダントツのトップで他の6カ国の合計よりも多い年間約50兆円の公共事業の抜本的見直しもあわせて議論すべきです。

 以上、「医療費削減まずありき」「年齢で命を差別する」後期高齢者医療制度は国民皆保険制度の崩壊への道であることを指摘してきました。後期高齢者医療制度は廃止しかありません。

 最後に、この医療改革に関与した厚労省の元幹部の言葉、新聞で報じられたものですが紹介します。
「物価はどんどん上がったらどうなるのか。弱者の側に立つ厚生官僚として、私はやってはならない政策に手を染めた」

以上で、討論をおわります。