平成21年2月
  予算委員会

●県有施設・財産の維持管理
●老朽住宅の耐震改修
●公共事業の転換
●県内のホームレス者数、「派遣切り」の実態
●総事業予算の拡充を
●長期的な雇用の保障
●自立支援計画の策定
●一体的政策と総合窓口の設置
●教育オンブズパーソン制度
●教育委員会会議の在り方
●教育委員会の障害者雇用
●博物館行政

質問

答弁

●県有施設・財産の維持管理

1月末に私は、昭和49年〜51年に建設されたといいますから、築35年近く経過した県立高校を数校、視察しました。一般に建築物は、鉄筋コンクリート造の場合、耐用年数60年とされ長寿命化のため外壁塗装や屋根防水の全面更新は少なくとも15年〜20年で行われるもので、30年経過すれば大規模な改修が必要とされます。私が訪ねた県立高校は35年近いにもかかわらずそうした更新は一度も行われず、鉄筋の錆が外壁に浮き出、壁や梁のクラックも目にし、埋立地にある学校は地盤が1メートル近く沈下し杭で支えられた構造物と地盤との間の隙間が観察されました。これではコンクリート破片落下による事故、雨漏り、大地震動時における液状化や杭の破壊による上部構造物の大規模な被害が危惧されます。改修できない理由は財源がないということでした。そこで県有施設全体について伺います。
床面積ベースで約395万?の県有施設の4割が築30年以上経過し、10年後には8割に達する。これらの大規模改修に要する費用の総額はいくらか。新年度予算案ではどの程度実施されるのか。

【答弁】松原総務部長
本県では、首都圏に位置するということから、高度成長期の人口急増に伴う行政需要に対応するため、学校をはじめとする様々な公共施設の整備を行ってきました。今後、これらの施設の改修や改築の需要が増加すると見込まれることから、将来の財政負担の抑制と平準化が重要な課題と考えています。このため、行政改革推進本部の下に設置した「県有財産活用戦略会議」で検討を加えながら、県民ニーズの変化をを踏まえた県有施設の見直しを図るとともに、建物の長寿命化や利活用の一層の推進に努めるために、その方針を策定したいと考えています。大規模改修に要する費用の総額については、
 ・今後、施設の統廃合などにより施設数が変動すること
 ・施設の劣化状況がそれぞれに異なること
などから、現段階では試算することは困難であると考えています。なお、21年度の予算については、緊急に対応すべきものについて、主に予算計上しているところです。

【川本】一方で借金し、大規模な公共事業を推進しながら今後の県財政負担のシュミレーションに不可欠な大規模改修費の試算をしていないとは驚くべきことです。また、新年度予算の数値は耐震改修によるものが大部分と思われますから実質的にはほとんど考慮していないということです。本来予算に計上すべき項目が入っていないということですから、財源不足の規模はさらに大きくなるハズです。それがどの程度なのか、以前、議会答弁で県は、「築40年で建て替えをすると今後30年間で1兆円以上の費用が見込まれる」としている。単純に平均すると年間400億円前後の財源が必要となる。建て替えではコストがかかるということで長寿命化への取組が各地方自治体で行われている。そこで伺う。温暖化防止策にも配慮した県有施設の維持管理・長寿命化計画の策定状況はどうか。

【答弁】同
先ほども答弁したとおり、今後、「県有財産活用戦略会議」でその方針を策定することとしています。その間、地球温暖化防止に配慮することは、大変需要であると考えているところであり、環境の視点も重視していきたいと考えています。

【川本】青森県では2003年に今から6年前にすでに「ファシリティマネージメントを活用した県有施設の効果的な管理運営手法の導入に関する調査研究」が実施されている。財政負担のシュミレーションとともに県有施設の温室効果ガス削減も位置づけられている。そもそも県有財産を財源を確保しながら安全に維持管理していくことは県の使命であるが、千葉県で検討が遅れたのはなぜか。またいつまでに財政負担のシュミレーションを実施するつもりなのか。

【答弁】同
本県では、高度経済成長期の人口急増に対応するために施設整備を行ってきましたが、そのピークが昭和50年代半ばとなっており、先進的に取り組んでいる青森県などと比べると5年程度遅くなっている状況にあります。また、自治体ごとに、保有する施設等の状況や県民ニーズも千差万別ですが、先進的自治体の取り組みを参考にしていきたいと考えています。現在、建物の利活用状況や劣化状況の把握を進めているところであり、その結果を踏まえた県有財産の転用や共用、売却、貸付などの利活用に係る見直しの方針の方向性については、21年度後半には取りまとめたいと考えています。

【川本】毎年の予算に反映させる必要があるのにいつまでに財政負担ニシュミレーションを実施するか決まっていないのはこれにも驚きます。今年1月に出された「未利用地県有財産の管理についての行政監査結果報告書」では、監査対象財産の約6割で測量経費等を要するとの理由で境界確定がされていないことが指摘されている。これらを考え合わせると、県有財産を維持管理するという姿勢に乏しいと言わざるを得ない。先ほどの青森県の報告書では面積ベースの規模は千葉の約半分だが、長寿命化費用は30年間の累計で3200億円としている。その倍の規模では30年間で5000億円〜6000億円となり年平均200億円程度となる。千葉県でいうと道路直轄事業負担金が180億円程度ですからその程度かかるということです。そこで伺うが、県有施設は本来毎年数100億円規模の維持管理更新費用が必要ということ、07年度決算で経常収支費率が100%を超えたこと、さらに流域下水道施設の今後の更新費などもあわせて考慮すると、千葉県は高規格道路や大規模開発など新たな公共事業を行う財政的な余裕などないのが実態だと考えるがどうか。

【答弁】同
財政状況が厳しいことは事実ですが、厳しい中にあっても県民が真に必要とする事業については、予算措置していかなければならないと考えています。

【川本】だからこそ一刻も早く財政負担のシュミレーションを実施すべきなのです。最初に指摘した学校施設の状態は財源不足で放置されている。1校1億円費やせば当面の処置ができる。無駄な酒々井IC事業に4億円投入する余裕はないはず。事故が起きれば管理者はその責任が問われることになる。既存道路の問題も同様だ。道路環境課所掌の県単の交通安全事業は各事務所からの要望225か所39億円に対して新年度の骨格予算案では約17%の6.9億円、舗装修繕は125?67億円に対して30%の20億円しか組まれていない。そこで伺う。県単の道路舗装修繕費、交通安全対策費は、県民生活の安全対策として骨格予算で必要な全額が計上されるべきものと考えるが如何か。

【答弁】橋場県土整備部長
骨格予算では、道路舗装修繕費用については、早急に工事を実施する必要な箇所を計上している。交通安全対策費については、継続箇所のうち、交差点改良や年度内に完了する箇所を計上している。この二つの事業については、6月補正予算において、更なる事業予算の確保を図ってまいります。

●老朽住宅の耐震改修

【川本】大地震がいつおきてもおかしくないと言われる。そこで学校施設をはじめとして耐震改修がおこなわれている。しかし、阪神淡路大震災の内、地震の直接の被害者5502人の88%は老朽住宅の倒壊による「住宅災害」だったという教訓から学ぶなら、老朽化した住宅の耐震性を確保することが最優先の緊急の課題の一つであることは明らかだ。そして高齢者、障害者、低所得者など社会的弱者に被災が集まります。そこで伺う。県内の昭和56年以前に建てられた耐震不足の戸建て老朽住宅の棟数、新年度予算の耐震補強予算と棟数について伺う。

【答弁】同
平成15年の住宅・土地統計調査によりますと、本県における昭和56年以前に建てられた戸建木造住宅は、約45万戸となっております。このうち、耐震性のないものは、国の算定方法に基づき、約40万戸と推計しております。また平成21年度当初予算における戸建住宅の耐震改修補助については、1700万円、約340棟分となっております。

【川本】国の調査では、県内の戸数40万ということから、これでは10年間続けても1%もカバーしないことになる。1戸わずか5万円、対象戸数340戸で1700万円の新年度予算額では、阪神淡路大震災の「住宅災害」の教訓を学んだと言えない。そもそも建築基準法の主旨は憲法25条「国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を守るための最低限の基準を定めたものだ。しかしそれに反して日本の住宅政策は自助努力に委ねられた。これでは命を守れない。建築基準法の原点に立ち戻り、「住宅災害」を防止する施策を推進するため、耐震補強予算を大きく拡充することが不可欠だと考えるがどうか。

【答弁】同
耐震改修事業につきましては、市町村が主体的に行い、それに補助をする制度であるため、市町村の耐震改修事業の拡大を指導してまいりたい。

【川本】建物は社会資産でもある。40万戸すべてを対象に5万円計上すれば200億円、5年計画とすると毎年40億円だ。ちょうど成田新高速の整備推進に新年度41億円がつけられていますがそれにあたる額です。地域の中小の工務店を中心に産業振興にもなる。建築部門が福祉という視点が持ちにくければ、福祉部門との連携が必要だと思う。私はだいぶ前ですが、都内で高齢者のバリアーフリーなどの住宅改善に関わったことがある。高齢者も地域で安心して住み続けるという観点から、高齢者などに向けたバリアーフリー化とセットで簡易耐震改修の住宅改善補助制度を検討すべきと考えるが如何か。

【答弁】同
県の耐震関連補助事業は、住宅や建築物の耐震化を促進することを目的に、現行の建築基準法の耐震基準を満たさない住宅等の耐震改修等を対象に補助を行っているものです。また、県は、高齢者などに向けたバリアーフリー化等を目的とした居室の増改築等に対する融資制度を実施しているところです。したがって、バリアーフリー化と連動して耐震改修等を実施する制度については、今後制度上の課題を含め、連携方策のあり方等について、検討していきたいと考えております。

【川本】是非、検討いただきたい。この老朽住宅の耐震化問題は、阪神淡路大震災の教訓を生かすという意味で、政治が問われる。「住宅災害」という人災の予防という面で、全庁的で計画的な取り組みを求めたい。

●公共事業の転換

【川本】既存県有施設の維持管理の充実、老朽化住宅の耐震化促進は県民財産の管理や生命の安全の上でまったなしの状況だ。本議会の質疑で不足しているのは「何をやらないか」という議論です。公共事業で何を優先し何をあとに回すかということです。H20年度、第36回県政に関する世論調査結果によれば、?高齢者の福祉を充実、?災害から県民を守る、?医療サービス体制を整備、?食品の安全、?次世代を担う子どもの育成支援だ。こうした県政世論調査結果からも、圏央道や北千葉道路などの高規格道路事業を他の事業より優先することを県民は望んではいない。そこで伺う。県政世論調査結果、県有施設の長寿命化を優先し、道路直轄事業などの高規格道路や酒々井IC事業を凍結・中止すべきと考えるが如何か。

【答弁】知事
県ではこれまで、超寿命化対策として、県有施設の耐震対策や補修などを実施してきたところです。一方、地域経済の活性化や成田空港のアクセス強化、及び観光立県千葉の実現をめざすため、県土の道路網の骨格をなす圏央道、外環、北千葉道路など、高規格な道路の整備も重要と考えています。そこで、厳しい財政状況の中ではありますが、これらの高規格な道路等の整備もバランスをもって進めてまいりたいと考えています。

●県内のホームレス者数、「派遣切り」の実態

【川本】年末年始にかけて年越し派遣村が大きな話題となりました。厚生労働省は1月31日に、昨年10月から今年の3月末までに職を失う非正規労働者が約12万5千人と発表しました。労働者をしっかり守るルール、制度をつくることとともに、その背景にある格差社会、経済危機に目をやり、個人消費の拡大で地域でお金がまわることが地域経済の立て直しの最大の要素とする的確な施策が求められる。そのためには、格差社会の克服、セーフティネットの充実こそが地域経済振興の柱に据えられる必要があります。そこで伺います。県内のホームレス者数、「派遣切り」「非正規切り」の被害者の数の現状と今後の予測はどうか。

【答弁】大熊雇用労働課長
県内のホームレス者数は、厚生労働省の「ホームレスの実態に関する全国調査」によると平成20年1月現在で524人です。また、国から調査結果は公表されていませんが、平成21年1月の調査状況を見ても減少傾向にあります。非正規労働者の雇い止めについては、千葉労働局が実施した1月30日発表の「非正規労働者の雇い止め等の状況調査」によると、実施予定も含め、本年3月までに県内では22事業所、938人の非正規雇用の方が雇い止めになる見込みです。雇い止め状況は、調査開始時点の11月から月ごとに増加しており、今後さらに深刻化することが懸念されるところです。

●総事業予算の拡充を

【川本】しかし、新年度当初予算では、中小企業などへの支援と比較してホームレス自立支援事業は前年度より100万円減、ジョブカフェ総事業費も約3300万円の減となっている。ホームレス自立支援事業、ジョブカフェ総事業の予算を含めた拡充をすべきではと考えるがどうか。

【答弁】同
ホームレス自立支援事業については、市町村が、地域の実情に応じまして、巡回相談事業や自立支援ハウス事業などに取り組んだ場合に、事業費の補助をしております。今後とも市町村への事業実施を働きかけまして、ホームレス対策の充実を図ってまいります。ジョブカフェちばの事業費は経済産業省関係の予算が今年度限りということですので、次年度予算については県費で約4000万円の増額により対処しようとしておりますが、総予算額としては減少する見込みであります。しかし、できるだけ現在のサービス水準を維持する必要があると考えております。そこで、一層の事業の効率化を図るとともに、今後、ふるさと雇用再生特別基金事業の活用の検討など、新たな予算確保に努めてまいりたいと考えています。

●長期的な雇用の保障

【川本】緊急雇用創出事業として6月補正予算が成立するまでの間の必要な事業費として5億円が組まれている。安心して生活するという点から、将来的にも長期的な雇用を保証するものにつなげていく必要がある。緊急雇用創出事業は長期的な雇用=安定雇用につながる方策をすべきだがどうか。

【答弁】同
今回、国の第2次補正予算で措置された雇用関係の基金事業には、離職者に一時的な就業の機会を提供する「緊急雇用創出事業」のほかに、中長期的に安定的に雇用機会をつくりだそうとする「ふるさと雇用再生特別基金事業」があるので、これを十分活用できるよう検討を進めていきます。また、「ジョブカフェちば」や「ちば仕事プラザ」での就労支援事業も活用し、安定的な雇用につながるよう、一層の就労支援に努めていきます。

【川本】そのひとつの提案として、公共事業の発注の要件に、雇い止めにあった非正規労働者の雇用を加えることなどを検討すべきではないか

【答弁】石井建設・不動産課長
現在、緊急雇用創出事業の中で、道路維持修繕や河川環境整備などにつきまして雇い止めにあった非正規労働者その他の求職者の雇用創出に取り組んでいるところでございます。今後とも、このような業務について、雇い止めにあった非正規労働者などの雇用創出等に努めてまいります。

●自立支援計画の策定

【川本】2002年の「ホームレス自立支援法」、2003年の「ホームレス自立支援基本方針」を踏まえ2005年1月に策定された「千葉県ホームレス自立支援計画」では、知事の「はじめに」で「ホームレス問題は、福祉だけでなく、住宅、就労、健康、施設管理など、さまざまな切り口からの対応が必要です。しかし、これらの対策を個別に並べるだけではなく、一人一人の実情やニーズにあった対策を有機的に結び付けていかなくては、せっかくの施策も有効に生かせなくなります」としている。千葉市、船橋市所管の施設を除き、県内には昨年6月末現在で25の施設、定員あわせて1144名の無料低額宿泊施設があるという。
無料低額宿泊施設入所者で自立した人数を把握しているのか伺う。

【答弁】平井健康福祉指導課長
各施設に調査を実施したとこえ、平成19年度中に就労等により施設を退所し自立している人は114名である。

【川本】県の自立支援計画では、入所者に対しても一人一人に応じた就労支援を行うと規定されている。市町村をサポートして自立支援を実行することが必要だ。そのためには、自立支援計画作成を市町村に促す必要があると考えるがどうか。

【答弁】同
県内のホームレス者数は、市町村によって大きく異なっていることが、平成20年1月時点でホームレス状態にある方が確認された。県の所管する25市町において、自立支援計画をまとめることが望ましいと考えている。自立支援計画を策定した市町村は、市川市の一市であり、今後、関係市長に対して、計画の策定を促すとともに、特に、ホームレスの多い東葛飾地域を中心とする都市部に対しては、早急に作成するよう働きかけてまいりたい。

●一体的政策と総合窓口の設置

【川本】中途解約を禁じた労働契約法や借地借家法などに基づき、企業の社会的責任を厳しく問うとともに、今後予想される3月末の有期契約雇用の満期雇い止めに備え、一層のセーフティネットの拡充が不可欠だ。その場合、居住、就労、その他生活支援などの対策を個別に並べるだけではなく、一人一人の実情やニーズに合った対策を有機的に結び付けなければ有効な施策とならない、居住支援と就労支援の一体的政策と関係部局やNPOの連携が必要だがどうか

【答弁】同
ホームレス問題は、福祉、健康、住居、就労、安全対策など、多方面にわたることから、行政機関が相互に連携を図るとともに、民間の支援団体やボランティアと協働して、ホームレス一人ひとりの実情を踏まえた自立支援を進めていく必要があると考えている。市川市においては、県から事業費の助成を受けて、市の関係部局と支援団体が協働で支援事業を実施し、巡回相談から借り上げアパートへの入居、さらには就労支援へと結び付け、大きな成果を上げている。今後とも、ホームレス状態にある方が確認された市町村に対してホームレス自立支援事業の実施を働きかけていく。

【川本】そのためには、当事者がハローワーク、住宅供給公社、福祉事務所の窓口などを訪ね歩かなくてよいよう、居住、就労、生活保護などの総合窓口の設置が必要と考えるがどうか。

【答弁】同
ホームレスの方の相談窓口は、各市町村の福祉部局となっており、来庁した方の相談に応じるとともに、必要に応じて関係機関等と連携、調整を図っている。今後とも、市町村に対し、関係機関等と連携を図り、民間の支援団体・ボランティアの協力を得て、ホームレスの方々の実情を踏まえた支援を行うよう働きかけていく。

【川本】関係組織の連携や窓口の設置は今からしっかり準備していただきたい。また、ホームレス自立支援計画については、新年度見直しが行われるということなので、現状の検証を踏まえ関係者、県民の意見をしっかり取り入れ実効性のあるものを作成することを求める。

●教育オンブズパーソン制度

【川本】まず、教育オンブズパーソン制度について伺います。5日の代表質問で会派の吉川県議が浦安小学校における教員による児童への強制わいせつ事件との関連で、「教育の現場において、児童・生徒・保護者の訴えを公正・公平に受け止めて、迅速な対応を行うことができる教育オンブズパーソン制度を設置すべきだ」と質した。この事件は、保護者から訴えがあっても県教委は市教委まかせで市教委の言い分をうのみ、市教委は学校まかせ、学校は教員を守る、という構図の中で、保護者の方はやむにやまれず裁判に訴えたものだ。児童生徒保護者の訴えを真摯に受け止める仕組みがあれば裁判に至らなかったと思う。また、昨年9月議会の代表質問で私は、県立高校の特別指導中、教員が密室で生徒を恫喝しそれによる中途退学に至った問題を取り上げた。この被害を受けた子供の保護者らも安心して訴える場がない。吉川県議の質問にたいし、教育委員長は、「相談できる環境づくりに努める、職員を指導助言してまいります」とし、オンブズパーソン制度の設置は不要とした。しかし、そうした環境がない実態があるから制度の設置を求めたもので、教育現場の現状に無知な答弁だ。改めて伺います。セクハラ問題や特別指導中の不適切行為などを踏まえ、教育オンブズパーソン制度等の設置に向けた検討が必要と考えるが如何か。

【答弁】佐藤教育長
セクハラ問題については、各学校にセクハラ相談員を置き、児童・生徒がどんなことでも相談しやすい環境づくりに取り組んでいるとともに、教職員及び児童・生徒のセクハラに対する認識を一層深めるため、県立学校の全教職員と生徒を対象に、セクハラ実態調査を実施しているところです。また、特別指導は、生徒に深く反省を促し、再び健全な学校生活に戻れるようにすることが大きな目的であり、その過程でやむなく進路変更にいたる場合もあるものの、各学校においては、家庭と十分連絡をとりながら、教職員が粘り強く生徒の立ち直りに努めているところです。いわゆる地教行法の改正では、効果的な教育行政の推進や住民への説明責任等の観点から、教育委員会が自ら点検・評価を行い、その結果を議会に提出し、公表することとされました。これを受けて、教育委員会は外部の学識経験者の知見を活用しつつ、点検及び評価を行っており、現段階においてオンブズパーソン制度の設置については考えていないところです。

【川本】職員が対応するといっても、それには子供、保護者と学校との間に信頼関係が不可欠だが、そもそも問題が生じるところはそうした信頼関係がない。また担当する職員は保護者らにとって公正中立な第三者的な立場ではありえないし、こうした問題に対応するには法律家、医師、学識経験者、子どもの人権関係の専門家などの知見が不可欠だが、教員は子どもに学力をつける専門家ではあってもこうした専門家ではなく、また多忙な日常業務を持つ。専門家でもない職員に適切な対応などできるはずがないがどう考えるのか。

【答弁】和田教育総務課長
先ほど答弁したとおり、教育オンブズパーソン制度の設置については考えていないところですが、教育行政における課題が多様化している現在、適切な生徒指導を含めた充実した教育を推進していく上で、学校を支援していく仕組みについて、国や他県と連携して研究してまいります。

【川本】浦安の強制わいせつ事件の控訴を検討した1月21日の教育委員会会議の議事録によれば、一人の委員の「今後は、ぜひ被害をきちんと述べることができない人に対するこのような事件が二度と起きないよう、県の教育委員会として、いろいろと工夫をこらして、再犯予防に努めていただきたい」という発言もある。県教委は校長以下教職員の評価と人事の責任が問われるという点で公正中立な第三者ではない。教育オンブズパーソン制度等の設置に向けて検討をすることを重ねて求める。

●教育委員会会議の在り方

【川本】次は、教育委員会会議の在り方について伺います。
去る1月22日、大津地裁で、行政委員に月額報酬を支給しているのは「勤務日数に応じて支給する」と規定した地方自治法に違反しているとし、滋賀県に支出差し止めを命じる判決が出された。今後、行政委員の業務実態に応じた報酬のあり方という点で議論になることと思うが、これは教育委員会の委員についてもあてはまる。教育委員会会議は月1回2時間程度開催されているが、県民が注目するのは県教育行政の責任者と位置付けられている教育委員がその使命をきちんと果たしているのかというものだ。しかし、本議会の議案で出されている浦安市立小学校における教員によるセクハラの損害賠償請求事件の控訴手続きに際し、会議も開催されず事後報告で済まされ、後に開かれた教育委員会会議は控訴を疑問視する意見が多数を占めたものの控訴済みということで安易に追認された。これでは教育委員として県民が望む実態がないといわざるを得ない。1月21日の会議議事録によれば、一委員は「一個人の意見としては、本当はこのまま終結した方がのぞましかったのではないか」と発言し、別の委員は「個人的な感想としては、この程度の重さで判決がおりているのであれば、早くきちんとしてあげた方がいいと思うので、県、市側がこのまま受け入れてもよかったのではないか」と発言している。そこで、こうした実態を踏まえて、行政委員の月額報酬に関する大津地裁判決と県教育委員会会議の形骸化についてどのように考えるのか。

【答弁】同
教育委員は、議案等に関して、委員会会議における審議のほか、様々な視点から、事務局に説明を求めたり、地域住民等との意見交換会や委員協議会、委員勉強会を頻繁に開催して、状況把握や調査・研究に努めているところです。それを踏まえ、教育委員会議において、教育行政の基本に属する需要な事項について、大所高所から、審議・議決を行っているところです。

【川本】浦安の事件の控訴手続きについて多忙を理由に集まれないような方々を委員に任命するのが間違いではないか。そもそも、教育委員会は、自治体の長から独立し委員の合議により、大所高所から基本方針を決定しそれを教育行政の専門である教育長が執行するという、いわゆる「レイマン・コントロール」の下に運営されねばならない。しかし、昨年の12月議会で教育委員の人事案件の討論で私が指摘したとおり、
・事務局の提案する議案のすべてを何の異議もなく全員一致で採決
・少なくとも過去3年間1件も委員からの議案発議はありません
・議事録で発言者が無記名であり発言に対する責任意識が薄い
・県立高校校舎転落事故、県立高校入学式排除問題、中途退学と特別指導、学校施設基準、学校現場における子どもの人権などについての、教育委員会会議の無関心な実態がある。
教育長と事務方が教育行政を動かし、教育委員は名誉職化して意義を発揮しない存在になっている。そこで伺う。レイマン・コントロールに向けた教育委員の意識改革の取組と県民への説明責任を果たす必要があると考えるがどうか。

【答弁】同
教育委員は、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、知事が議会の同意を得て任命しています。教育委員は、基本的かつ重要な方針や施策等の策定に当たって、市町村教育委員会や他の幅広い分野の方々との意見交換を実施したり、学校視察やミニ集会、タウンミーティング等に積極的に参加したりして、地域の教育ニーズの把握に努め、県民の意向を施策に反映させているところです。さらに、今回の法改正に伴い、先ほど答弁した教育委員会活動の自己点検・評価の中に、教育委員自らの活動の取り組みを記載し、議会に報告するとともに、県教育委員会ホームページに掲載し、広く県民に公表したところです。

【川本】そもそも5人の委員は県教育行政の責任者と位置づけられているにもかかわらず、教育長を除き、教育委員長をはじめ4人の委員が非常勤で良しとしていることが問題。その結果、教育委員会会議の形骸化が進み、事務方が実質的にすべてを取り仕切ることになる。本来、「教育再生」というならこの点が真っ先に改革されるべきものだった。
レイマン・コントロールが機能する教育委員会会議の再生の取り組みを是非新年度は実施することを求める。

●教育委員会の障害者雇用

【川本】次に、教育委員会の障害者雇用について伺います。
一昨年の12月議会で小宮清子議員の一般質問で、障害者雇用の法定雇用率の達成に向けて、厚生労働大臣からの勧告を受けてH20年には法定雇用率を達成できるよう3年計画を出したと答弁している。そこで伺う。障害者雇用に向けて法定雇用率2.0%達成に向けた取り組みと達成状況はどうか。

【答弁】同
障害者の雇用は、平成17年度の169人、雇用率1.12%から、平成20年度には229人と60人増加し、雇用率も1.48%に伸びたところですが、残念ながら法定雇用率の2.0%には達していない状況です。このため平成18年度から教員等を対象とした身体障害者特別選考を実施しているほか、中央図書館において、知的障害者を嘱託職員に雇用するなど障害者の雇用促進を図ってきたところです。さらに、平成20年12月に教育庁内にプロジェクトチームを設置し、新たな職域の開拓や採用等に向けた広報・啓発など具体的方策の研究を進めているところであり、引き続き、法定雇用率の達成に向け努めてまいります。

【川本】応募者が少なければ、職域を広げる、学校で教職をとる段階から障害をもった方にもきちんと広げる、施設整備など学校側の受け入れ態勢を整える、などハード、ソフト両面の整備を求める。

●博物館行政

【川本】2002年に出された行財政改革の結果、01年と09年の比較では予算ベースで35.5億円が21.2億円と4割減と大幅に削減され、博物館員も01年146名が08年ベースで108名と約3割減と予算、人員が大幅に削減されている。県立博物館予算削減のなかで、生涯学習、地域文化創造の中核拠点施設として機能を発揮できる保証があるのか。

【答弁】佐藤教育長
千葉県には、中央博物館や美術館など6つの県立博物館があり、様々な分野の専門職員が配置され、また収蔵している資料にも貴重なものがあります。専門的学術団体から一般県民までが幅広く集い活動する場を提供しています。今後も、一人ひとりの職員が様々な工夫やアイデアを出しながら、博物館に蓄積されている専門的知見を最大限活用して、より開かれた博物館を目指していきたいと考えております。